相続の開始日と相続の開始地はどのように決まるのか?

相続は、いつ、どこで開始するのでしょうか?

相続の開始を知ると、いくつかの重要な手続の期限のカウントがスタートします。

また、相続の開始地は、相続に関係する諸々の手続をどこで行うべきかの基準となります。

ですから、相続の開始日と開始地がどのようにして決まるのかを確認しておくことは大切なことです。

ここでは、相続の開始日と開始地それぞれについて、詳しく説明していきます。

相続の開始日とは

まずは相続の開始日から見ていきましょう。

相続は、死亡によって開始する

民法882条は「相続は、死亡によって開始する」と定めています。

相続が開始すると、相続人が「被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する」(同法896条本文)という法的な効果が発生します。

つまり、被相続人が死亡した時に、被相続人の財産が相続人に移転するのです。

なお、被相続人が死亡した事実を相続人が知らなくても、相続は開始します。

死亡には「失踪宣告」や「認定死亡」も含まれる

ここでいう「死亡」には、生物学的な意味での死亡だけでなく、「失踪宣告」によって死亡したとみなされる場合や、「認定死亡」によって死亡したものと扱われる場合も含まれます。

失踪宣告、認定死亡とは、次のような制度です。

失踪宣告とは

失踪宣告とは、一定の期間生死不明な状態が続いた人について、法律上死亡したものとみなし、相続の開始等の死亡を原因とする法的効果を生じさせる制度のことをいいます(民法30条)。

失踪には、①普通失踪と②特別失踪があります。

普通失踪とは、生死が7年間明らかでない場合をいいます。

特別失踪が認められるのは、戦争、船舶の沈没、震災などの死亡の原因となる危難に遭遇して、その危難が去った後生死が1年間明らかでない場合です。

利害関係人(相続人にあたる人など)が申し立てることで、家庭裁判所は、失踪宣告をすることができます。

失踪宣告がされると、生死が不明になってから7年間が満了したときに(特別失踪の場合は危難が去ったときに)、その人は死亡したとみなされるので(同法31条)、その時点から相続が開始したことになります。

認定死亡とは

何らかの事故・災害(水難や火災等)に巻き込まれ、確実に死亡したと思われるものの、遺体が見つからないというような場合もあります。

このような場合には、警察署や海上保安庁などの官庁・公署が、死亡地の市町村長にその人の死亡を報告することにより、その人を法律上死亡したものと扱う効果が発生します。

これが認定死亡という制度(戸籍法89条)です。

戸籍上に記載される死亡日は、官庁・公署が死亡を推定した日となり(普通は死亡の原因となる事故・災害のあった日になるでしょう)、相続もその日に開始したものと扱われます。

相続の開始を知ると様々な手続の期限のカウントが始まる

相続の開始を知った日から期限のカウントが始まる手続のうち、主要なものは以下のとおりです。

相続放棄の申述期限

「相続の放棄」とは、文字どおり、負債を含むすべての遺産の相続を放棄することです。 これが認められると、その人は初めから相続人とならなかったものとみなされます(民法939条)。

相続の放棄をするためには、相続の開始を知った日から3か月以内に(同法915条1項本文)、家庭裁判所に相続を放棄する旨の申述をしなければなりません(同法938条)。

もっとも、3か月以内では相続を放棄するか否かを判断するための資料が揃わないような場合には、家庭裁判所に申し立てることにより、期間を延長してもらうことができるケースもあります。

限定承認の申述期限

被相続人の負債がどれだけあるかがわからず、負債を差し引いてもプラスの財産が残る可能性もあるといった場合などに、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の負債を受け継ぐことを留保して行う相続の承認のことを、「限定承認」といいます。

限定承認をするためには、相続の開始を知った日から3か月以内に(民法915条1項本文)、相続人全員が共同して(同法923条)、家庭裁判所に限定承認をする旨の申述をしなければなりません(同法924条)。

相続放棄の場合と同じように、諸事情によっては期限を延長してもらえるケースもあります。

遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求)の意思表示の期限

遺留分とは、相続財産に対する最低限の取り分のことで、兄弟姉妹以外の相続人に認められている権利です。遺言によっても、兄弟姉妹以外の相続人からこの遺留分を奪うことはできません。

例えば、被相続人に配偶者と子どもがいる場合の配偶者・子どもの遺留分の割合は2分の1ですが、仮に法定相続人である配偶者・子ども以外の第三者にすべての財産を相続させるという内容の遺言が残されていたとしても、配偶者と子どもは、相続財産の2分の1相当の財産は取得することができる(結果として上記の第三者が取得できるのは相続財産の2分の1相当になる)ということです。

もっとも、遺留分を主張するかどうかはそれぞれの自由であり、遺留分減殺請求権(遺留分侵害額請求権)を行使しなければ、遺留分の効果は生じません。

遺留分減殺請求(遺留分侵害額請求権)とは、平たくいえば、遺言等により遺留分を侵害された人が、その人の遺留分を侵害するほど多くの財産を取得した人に対し、自分の遺留分が侵害されている分に相当する財産は自分が取得するという意思表示をすることです。

なお、平成31年7月1日以降に開始した相続については、遺留分侵害額に相当する金銭の支払を請求することができるのみとなります(遺留分侵害額請求)。遺留分減殺請求権の行使によって当然に不動産の共有持分を取得するようなことはなくなるということです。

遺留分減殺請求権(遺留分侵害額請求権)は、相続の開始及び減殺すべき贈与又は遺贈のあったことを知ったときから1年が経過したとき又は相続開始から10年が経過したときは、時効によって消滅してしまいます。遺留分を主張したいならば、必ずこの時効期間内に請求を行わなければなりません。

相続税の申告・納税期限

相続税の申告・納税は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に行わなければならないとされています。例えば、1月3日に死亡した場合にはその年の11月3日が申告・納税期限になります。

相続の開始地とは

最後に、相続の開始地についてです。

相続の開始地は被相続人が住んでいた住所

民法883条は、「相続は、被相続人の住所において開始する。」と定めています。

被相続人の住所は、通常は最後の住民票上の住所になりますが、住民票上の住所と実際の居住地が違った場合には、実際の居住地の方が「被相続人の住所」=相続の開始地となります。

相続の開始地によって裁判所の管轄が決まる

推定相続人の廃除の申立て、遺産分割の審判の申立て、相続の承認・放棄の期間の伸長の申立て、相続の放棄や限定承認の申述などは、相続の開始地の家庭裁判所に行うこととなっています。

なお、遺産分割の調停は、相手方となる共同相続人のうちの一人の住所地を管轄する家庭裁判所、あるいは、当事者が合意で定めた家庭裁判所に申し立てることとされています。

相続に関するお悩みは弁護士にご相談ください

以上でみたように、相続の開始、すなわち被相続人が亡くなったことを知った場合には、早めの対処が必要になる場合もあります。

ご自身が相続人となる相続の開始を知った場合には、できるだけ早めに弁護士にご相談いただくことをおすすめします。

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