相続の承認(単純承認・限定承認)について

相続が開始されると、相続人には3つの選択肢が生じ、そのうちどれか1つを選択することになります。特に何もせずにいた場合、いわば自動的に、そのうちのある1つを選択したことになってしまいます。

亡くなった方に多額の借金があったような場合には,何も相続しない=その借金も受け継がない、という選択をすることもできるのですが、そのためにはしかるべき手続をとる必要があります。

この記事では,上記の3つの選択肢に関する基礎知識や手続についてご紹介していきます。

相続人には単純承認・限定承認・相続放棄の3つの選択肢がある

3つの選択肢とは、簡単にいうと,被相続人の財産をすべて受け継ぐ(単純承認),一切何も受け継がない(相続放棄),相続したプラスの財産の範囲内で借金などのマイナスの財産の責任を負う(限定承認)、というものです。

相続人は、これら3つのうち1つを自由に選択することができます。

単純承認はプラスの財産もマイナスの財産もすべて受け継ぐ方法

民法920条は,単純承認について次のように規定しています。

“相続人は、単純承認をしたときは、無限に被相続人の権利義務を承継する。”

これがもっとも一般的な相続の方法といえるでしょう。

被相続人に借金などの債務がある場合には,相続人自身の財産を充ててでも返済しなければなりません。

なお,相続人が相続財産を一部でも処分したり,定められた期間内に相続放棄や限定承認をしなかったりした場合には,単純承認したものとみなされます(「法定単純承認」といいます。)(民法921条)。特に何もしなくても、相続開始後一定期間が過ぎてしまうと、単純承認を選択したことになってしまうのです。

限定承認ではプラスの財産の範囲内でマイナスの財産の責任を負えばよい

「限定承認」は,被相続人の債務がどの程度あるのかわからないというような場合に,相続人が相続によって受け継いだプラスの財産の範囲内で被相続人の債務を負担するというものです。

民法992条は、限定承認について次のように規定しています。

“相続人は、相続によって得た財産の限度においてのみ被相続人の債務及び遺贈を弁済すべきことを留保して、相続の承認をすることができる。“

限定承認した場合も,借金などのマイナスの財産も含めたすべての遺産を相続するのですが,相続財産の限度を超えて弁済する必要はなくなるのです。

なお,限定承認は,相続人全員でしなければなりません。

財産を一切受け継がないのが相続放棄

「相続放棄」は,被相続人の財産を一切受け継がないという方法です。相続放棄をした人は,初めから相続人でなかったものと扱われます(民法939条)。

相続放棄をすれば、被相続人に借金などのマイナスの財産があったとしても,一切の責任を負いません。

プラスの財産よりマイナスの財産の方が多い場合や、一部の相続人にすべての遺産を受け継がせたい(あるいは自分は相続争いから抜けたい)という場合などに、よくこの相続放棄の方法が選択されます。

限定承認と相続放棄には期限がある

限定承認と相続放棄を選択する場合は,被相続人が亡くなったことと自分がその相続人であることを知った日から3か月以内に,被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所にその旨を申述しなければなりません。

3か月という期間はとても短いので,できるだけ早めに被相続人の財産を調査しなければなりません。

相続分の譲渡では借金の返済を免れることはできない

ここで「相続分の譲渡」についても若干触れておきます。

相続分の譲渡とは,文字どおり、自分の相続分を他者に譲渡することです。譲渡する相手(譲受人)は、他の相続人でも第三者でもかまいません。

相続分の譲渡が行われると、マイナスの相続財産も譲渡人から譲受人に移転しますが、それはあくまでも譲渡人と譲受人の関係においての話です。債権者に対しては、「自分は相続分を譲渡したから返済する義務を負いません」という言い分は通らず、債権者から請求を受けた場合には直接返済しなければならなくなります。

同じように,自分は相続財産を一切取得しないという内容の遺産分割協議を成立させたとしても,債権者に対する責任を免れるわけではありません。

マイナスの相続財産の責任から確実に解放されたいという場合には、相続放棄を選択するのが無難です。

相続の方法でお悩みの場合は弁護士にご相談ください

相続が開始すると、原則として3か月以内に、相続人は3つの選択肢のうちどれか1つを選択する必要に迫られます。

何もせずに一定期間が過ぎてしまうと,もはや選択の余地はなくなり、法定単純承認となってしまいます。

被相続人に負債がある可能性がある場合は,できるだけ早めに弁護士にご相談ください。

なお,事情によっては3か月経過後でも相続放棄が認められる可能性もあります。くわしくは弁護士にご相談ください。

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