相続人が誰もいない場合は特別縁故者が財産を取得できることがある

例えば、内縁関係にある男女の一方が亡くなったとき、他方がその財産を受け継ぐことはできるのでしょうか?

内縁の妻ないし夫は、民法が定める法定相続人には該当しませんので、相続権は有しません。

しかし、法定の相続人ではない場合でも、亡くなった人の財産を受け取ることができる方法が2つあります。1つは、特別縁故者として財産を受け取る方法です。もう1つは、遺言を残してもらうという方法です。

この記事では、どのような場合に特別縁故者として財産を受け取ることができるのかなどについて、解説をしていきます。

なお、平成31年7月1日以降に開始する相続については、法定相続人に当たらない被相続人の親族が、被相続人に対して無償で療養看護その他の労務提供を行い、それによって被相続人の財産の維持・増加に特別の寄与をしたといえる場合には、被相続人の法定相続人に対し、その寄与に応じた金銭を支払うよう請求できることになりました。

法定相続人の不存在

亡くなった人の財産を相続する権利を有するのは、民法に定められた一定の人たち(法定相続人)です。しかし、法定相続人が誰もいない場合には、被相続人と特別の縁故があった人(「特別縁故者」と呼ばれます。)が、被相続人の財産の全部または一部を取得できることがあります。

相続人がいるかいないか明らかでない場合(まずいないだろうと思われる場合も含まれます)には、家庭裁判所に選任された相続財産管理人が、相続人の有無や遺産・相続債務の内容などを調査し、相続債務の弁済と残った財産の処理を行うことになります。相続債務等の弁済を行った後、なお残った財産があり、かつ、相続人の不存在も確定したという状況に至った後に、特別縁故者に財産を取得させるかどうかが検討されることになります。

特別縁故者となれる人は民法で決められている

特別縁故者となれるのがどのような人かは、民法958条の3に規定されています。

以下のいずれかに当たる人物です。

  • ① 被相続人と生計を同じくしていた者
  • ② 被相続人の療養看護に努めた者
  • ③ その他被相続人と特別の縁故があった者

①に当たるのは、内縁の夫婦のような関係にあった人などです。

②に当たるためには、療養看護について対価を得ていなかったか、得ていたとしてもそれ以上のことをしたということが必要であるため、有償で働いていた看護師やヘルパーなどは当たりません。

③は捉えがたいですが、①や②に該当する者と同程度に被相続人との間に密接な関係があった人であり、その人に相続財産を分与することが被相続人の意思にも合致すると思われる人のことです。実際に③に当たるかどうかは、具体的な事情をもとに慎重に判断する必要がありますので、くわしくは弁護士にご相談ください。

特別縁故者として相続財産を受け取るためには裁判所への申し立てが必要

ある人が特別縁故者として相続財産を取得できるかどうかは、最終的には家庭裁判所が判断しますが、その判断をしてもらうためには、特別縁故者に当たると主張する人が家庭裁判所に財産分与の申立てをする必要があります。この申立ては、家庭裁判所の相続人捜索の公告期間(民法958条)の満了後3か月以内にしなければなりません(同法958条の3の2項)。

相続人捜索の公告期間が満了すると、相続人の不存在が確定します。その後に相続人が名乗りを上げても時すでに遅し、相続人が遺産を承継することはできなくなります。逆に、相続人捜索の公告期間が満了するまでに相続人が現れ、相続人の不存在が確定しなかった場合には、特別縁故者として相続財産を取得できる余地はなくなります。

とにもかくにも、特別縁故者として相続財産の分与を受けるためには、まず家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらうことから始めなければなりませんが、この申立ては特別縁故者から行うこともできます(同法952条1項の「利害関係人」に該当します)。

相続財産管理人選任の申立ては、被相続人の最後の住所地の家庭裁判所に行います。

特別縁故者が相続財産管理人選任の申立てをした場合でも、ほかの者(相続債権者など)がその申立てをした場合でも、特別縁故者として相続財産を取得するためには、必ず上記の特別縁故者に対する相続財産分与の申立ても行わなければなりません。

特別縁故者にも相続税はかかる

特別縁故者として相続財産の分与を受けた場合には、その財産は遺贈(被相続人が遺言により財産を無償で譲ること)により取得したものとみなされます。遺贈の場合は相続税がかかりますので、取得した財産の額によっては、特別縁故者にも相続税が課税されることになります。

法定相続人以外に相続させたい場合には遺言を残す

このように、特別縁故者に当たる人の場合、法定の手続を経たうえで、亡くなった人の財産を受け継ぐことができる可能性があります。しかし、特別縁故者と認めるかどうか、認めるとしてもどれだけの財産を取得させるかということは、家庭裁判所が判断することですので、確実性には欠けるといわざるを得ません。また、手続的な負担も大きく、時間もかかります。そこで活用できるのが、遺言です。

特別縁故者に当たるような人がいる場合には、その人に財産を遺贈するという内容の遺言書を作成しておくことで、ほぼ確実にその人に財産を受け継がせることができます。

ただし、遺言は、法律で定められた形式を満たしていなければ無効になってしまうリスクがあります。また、書いた本人にとっては100%明確であっても、客観的にみると記載内容があいまいであったり、財産がきちんと特定されていないなどの問題があることもあります。そうなれば、やはり望んだとおりの法的効果は生じないかもしれません。望んだ人に望んだとおりの財産を確実に引き継がせるためにも、遺言の作成は弁護士にご依頼いただくのが無難です。

特別縁故者の問題は弁護士にご依頼ください

特別縁故者は、相続人とは異なり、自ら裁判所に申立てをして必要な主張立証をしていかなければ、相続財産を受け取ることができません。そのような手続は、相続の専門家である弁護士にご依頼いただくことで、スムーズに進めることが可能となります。また、相続人でない人に財産を与えたいと考え、遺言の作成を検討しているという場合にも、弁護士のサポートは有益です。

このように場合には、ぜひ弁護士にご相談ください。

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